今から2年くらい前に、
始めて「ネットオークション」をしてみたことがある。
ある美術展の図録が欲しくて、
時々気がむいたら探していて、
その時に丁度オークションに出ているのを発見して、
僕が最初の入札者で、
最初の提示価格「3000円」で入札した。
そのあと次に入札してセリ上げた人がいて、
僕はそれをさらにセリ上げることなしに、
入札をそこでやめた。
そのあとずっと、
僕は次に入札者した人の価格が、
「3010円だった」とずっと思っていた。
で、
今年の春以降にそれをネタにしたブログを書こうと思って、
「思えば、10円だけ上げる〝オークション〟って一体何なんだ」
みたいな記事をちょっと面白おかしく書いてみた。
でも、
ふと、
「ん?あれって、最後の価格をダンプ画面に撮っておいたりしてなかったっけ?」
と思った。
あればブログの画像に使えると思って。
そして、資料や記録など置いているファルダを見たら、
ちゃんと残していた。
で、開いてみると、
最終的に僕の前の人が入札した価格は、
3100円だった。
あれっ?
あっそうかぁ、
ずっと3010円と思い込んでいたけれど、
3100円だったかぁ。
勘違いしてたなぁと。
で、
そのダンプ画面をじーっと見ながら、
改めて考えた。
これはたしか、
これを見た瞬間になんとなくやめようと思ってやめたんよなぁ。
そして、欲しいならこの人にあげよう、と。
そう思ったら、
そのあと迷いや未練は全くなかったのはよく憶えている。
さて、
でもそうなると、
「思えば、10円だけあげる〝オークション〟って一体何なんだ」
って記事はもう書けない。
3000円から3100円の「100円アップ」なら、
全体の価格からみてもそうおかしくない。
せっかく沢山書いたのに、
もったいないが、
あきらめよう。残念だ。
と、
思ったが、
「いや、このまま全部のことを含めて載せたらいいんじゃないか」
と思い直した。
ので、
「3010円」だと思い違いをしていて書いた、
「思えば、10円だけ上げる〝オークション〟って一体何なんだ」
という感じの記事を続けてそのまま載せよう。
実際は100円だったのだから、
そう思ってみるとかなり浮き足だったムリヤリな文章です。
以下。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2013年のちょうど梅雨時、
僕は岡山に住む友人の
ナカトと広島で落ち合って、
広島現代美術館に「日本の70年代」という展覧会を、
一緒に観に行った。
非常に面白い展覧会で、
当時の生活や文化に関係したものを展示していて、
70年代に10代を過ごした僕らにはツボで、
「あっ、これは!」とか「おーっ!」とか言いながら見て回った。
展示の途中のベンチなどにその展の図録が置いてあって、
「これは必ず買ってかえらねば」と思いつつ、
二人で期待しながら展を見終わってから売店にいくと、
なんと会期中なのに図録は人気で売り切れ。
仕方ないなー、
なんてあきらめて帰った。
そこから、
そこそこ月日が経ってナカトが、
ネットオークションでその図録を手に入れたとブログで知り、
(たしか直接の連絡では伝えてもらってなかったよね?)
「あー、いいなー」なんて思って、
僕も時々、
思い出した時にネットオークションで検索したりしていた。
まぁほんとに、
思い出したときにしばらく検索を続けては、
また忘れて間があいたりとかそんな感じで。
ので年月はどんどん過ぎて。
で、
最初に書いたように、
2年くらい前かな、
ある時ヤフオクで調べたら、
その図録が出ていた。
価格は3000円。
だからすぐにオークションに参加した。
で、
数日して、
せり上がっているかどうか確認のために、
またそのページを開いてみた。
すると、
誰かがセリ上げて3010円になっていた。
その時僕はたしか、
ふと、「あ、もうやめておこう」
と思って、
「そんなに欲しいならキミにあげよう」
となんとなく思って、
やめたのだったと思う。
さて、
今になってこう思う。
「それにしても、10円せり上げ」って何なんだ!
と。
そして、
そこからちょっと考えた。
結局僕はすぐにやめたけれど、
もし僕がここに「10円」に足して、
「3020円」にしたとする。
すると相手はどうしただろう?
その10円上げたヤツは、
また「10円」足して、
「3030円」にする気だったのか?
きっとするな。
間違いない。
してもらわないとここから話がすすまない。
だからムリヤリでもそういうことにしよう。
そこに僕がまた「10円」足したとして、
「3040円」にしたとちます。
そちたら、
コイツは「やったなー」って言ったりちて、
「3050円」にするんでちゅ。
よーしまた10円だー。
やったなー、こっちも10円だー。
くちょー、またまた10円だー
なにをー、10円ー!
やったなー、10円ー!
10円ー!
10円ー!
10円ー!
10円ー!
わーい10円ー!
ひゃーい10円ー!
ええいっ!
やめい!
おまえらチビッコか!
と、こういうことになったわけ?
だとしたら、
もし僕が最初に100円セリあげたとしたら、
やっぱりソイツは、
10円でちゅーで3120円。
また100円せりあげても、
10円でちゅーで3230円。
おまえは10%消費税かっ!
なんてことだったりするの?
ネットークションに参加したのは僕は始めてだったのだけれど、
こういうものなの?
どこかに、
『かしこいネットークションの落とし方』とかいう、
本かネット記事があって、
「最初は10円から行きましょう」とかあって、
「10円あげて落とせたらラッキー!」とか、
そんなケチくさくて小賢しいこと言ってるの?
なんかさぁ、
オークションってさぁ、
もうちょっとこう、
潔さとか意地とか覚悟みたいなものがもともとはあるんじゃない?
ほら、
『007』シリーズの映画なんかで、
「悪の親玉が、ある美術品のオークションに参加して、
是非落としたいものがあるらしい」
という情報を聴いたジェームス・ボンドが、
親玉に近づくために正体を隠してオークションに乗り込んでさ。
まず、進行係が、
所定の金額から始めると、
遙かに多額の金額を悪の親玉が提示して、
(あ、本人じゃなくて横にいる美人の愛人とかがね)
会場がそれを聴いて「おおお〜〜〜!」
とざわめいてね。
これで落ちたなと、
悪の親玉がニヤッとした時に、
ジェームス・ボンドが手をあげて、
またまた遙かに高い金額を提示して、
会場がまた「おおおおおお〜〜〜!」とざわめいて、
みたいなね。
すると親玉は意地でも手に入れるぞと、
もっとセリ上げて最終的に手に入れて。
終わってから、
ジェームス・ボンドが悪玉に近づいて、
「さすがですな。あれではもう手が出ませんよ」
とか言ったりして、
(悪の親玉の美人の愛人がちょっとボンドに興味津々だったりして)
なんて。
もちろんあれは映画だから、
そこまでもなくても、
もうちょっとこう、
「このくらい出しても欲しいぜ」
みたいなものは無いの?
そんなことを、
思ったりしたのだ。
………………………
が、
そのオークションの時、
実は佐野の知らないところで、
こんな事が行われていたのだ。
あの出品は、
「打倒佐野」をもくろむ、
「チビッココソコソ団」の仕業だったのだ。
どこかで僕があの図録を欲しがっているという情報を、
入手した「チビッココソコソ団」が、
あのオークションに出品したのだ。
そして、
佐野をオークションでおちょくってやろうと、
腰タンタンと(←ワザとよ)もくろんでいたのだ。
sanoがオークションの入札に参加。
残り時間5日。
「おっ、かかった!これでちゅわ。IDから見てこれが佐野でちゅわ(腰タンタン)」
「ほんまや」
「よし、 別のIDでここから10円ずつあげていきますわ。まずは、はいっ。10円と。(腰タンタン)」
現在価格3010円。
残り時間4日。
「さぁ、ここから幾らあげても10円。
10円あげても10円。200円あげても10円うふふふ。
いま僕、すごくおもちろいでちゅわぁぁあー。ケケケケケ」
「でも、何かすぐに気がついて引きそうな感じもするな」
「あぁ…、〝勘がいい〟とかそういうヤツでちゅか? ヘッ! バカバカしいっ。絶対に分かるはじゅはないでちゅ! 分かったら鼻から牛乳飲みますわ。さぁ、いきますよー。幾らでもあげてみろっちゅーんでちゅ。10円地獄みせちゃりますけん。みんなで見て笑いまちょー。ワクワクしまちゅねぇー(腰タンタン)」
現在価格3010円。
残り時間3日。
「来ないな」
「きっと、どうせ、忙しいんでしょ。へっ」
現在価格3010円。
残り時間2日。
「反応ないな」「わ、忘れてるんかもしれまちぇん」現在価格3010円。残り時間1日。「やっぱりないな」「きっと上げまちゅ。例えばボクやったらこういう時必死でちゅもん。きっと僕と一緒でちゅ。今から来るんでちゅ」現在価格3010円。オークション終了。「おぉ…」「……」「じゃ、これ、はい」「え?」「牛乳」「…………」こうして佐野は、気づかぬうちに「チビッココソコソ団」の魔の手から逃れたのであった。
………………………
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以上が、
「3010円」と思っていたときに書いた文章だ。
(以下もその時に書いて、
続けて最後の締めにした文章だけど、
価格とは関係ないことなので、
「〜〜〜〜」から外して、多少書き直して、締めとして続ける)
ところで、
今年の初め頃に僕のところにナカトが来た時に、
この図録の話になった。
そのあたりの順番はどうだったかあまり憶えてないのだけれど、
たしかナカトの方から図録の話を言い出したのではなかったかと思う。
そして、僕は、
オークションで見つけたけれど、
次に入札した人にもうあげようと思ってやめた、
とか、そんなことを言ったような気がする。
するとナカトは、
「僕もネットオークションで買ったんじゃが、
別に中身はそうたいしたことはなかった。
やっぱり実際の展示の方がよかった。
別に買わんでもええんじゃねぇかな」
みたいなことを言った気がする(よね?)。
で、
ナカトにそう言われたら、
「あ、そうか。じゃあもういらないや」と思った。
僕は昔から、
「●●年代もの特集」の本が好きで、
そういうところでもちょこっと欲しかったりもしたのだけど、
でもここ最近、特にここ3.4年は、
「もうモノや本を増やすのもなぁ」
と一方で思ったりもしているし。
それに、
どちらというとそういうことよりも、
「ナカトとなんじゃかんじゃと広島珍道中をしながら、
一緒に行った展の記念として」
として欲しいという方が大きかったかな。
でも、
ナカトがそう言うのだから、
もう別にいいや、いらないや、
と言う気になった。
まぁ、
記念といっても、
図録には、
あの広島行きでの、
ナカトの路面電車でつまずき事件や、
ボクのビールもうちょっと飲みたい事件のことなどは、
載っていないからなー。
こうやって図録のことを記事にしたし、
これでもう十分ということで、
「日本の70年代展の図録ほしい」は、
おしまいにする。
そんなこんなです。
That's all for now.✓