まずは、
10月29日の記事でも書いた「困った姉」関係の話を。
その頃まで、
姉が母の代わりに銀行に行って、
家や母に必要なお金を下ろしてきていたのだけれど、
姉が急に、
「本人じゃないと疑われてそれがイヤだから、
お母さんがハジメと行って下ろしてきて」
と母に言い出して、
それで母が「ハジメ一緒に行ってくれるか?」と言うので、
11月になってから銀行へ行ってお金を降ろしてきたことがある。
「なんじゃそりゃ!」
というハラだたしい気持ちで行ってきた。
普通、
ちゃんとした一人前の60年以上生きている大人なら、
住んでいる家のそもそも自分がしていた用事なら、
自分で銀行に相談するだろう。
うまく言えないにしてもなんとかしてくるのが普通だろう。
みんな、たいがい大人なら面倒でもやっていることだ。
普段から「ものすごく一人前」みたいなこと言っている姉ならやって当然だろう。
多少は「外では蚊の鳴くような声」で聞いてみたかもしれないが、
「偉そうに言われるのがイヤやねん」
と前から自分で言っている姉だから、
疑われた時点でもうイヤになったのだろうな。
気分を損なうとすぐに嫌になるかやめてしまうのは、
ずっと昔から今も現在進行形で続くことなのでよく知っている。
そう言うことができにくいであっても、
せめて母のためにしてあげたい、
頑張って母のためにしよう、
というようなそういう気持ちもない。
プライドが高いので、
「私はそれがぜんぜんできないから代わりにやってほしい」
とかいうようなことも絶対口にしない。
「自分はちゃんとできている人」ということにしておきたい。
実際には「アチコチ行って色々する」ということはほとんど無くても。
そのあたりもよく知っている。
また口ではいろいろと優しい風なことを言っていても、
必要になった時にすぐにその場の態度や行動にそれは出てこないし、
最後は自分の保身のようなものがものすごく強い。
しかもよ、
ということは、
今後度々お金を下ろす時になったら、
母を僕とともに行かせるつもりだったのだ。
姉は。
日に日に足腰が弱くなっていて、
今は散歩も怖くて行けていない母であることも、
転倒のリスクもあって疲れやすいことも、
一緒に暮らしていて知っていてもおかしくなんいはずなのに、
そんな母をイヤになった自分の代わりに行かせるつもりなのだ。
マルっと弟に振って任せて。
それで平気なのだ。
その場かぎりで「こう言っておけばいいやろ」みたいに、
口で表面的に優しげなことを言っていても。
●
だから、
僕としては母の現状のそれを思うから、
その、母と二人で行った時にも、
銀行の人に僕の方から、
母が弱っているという事情を説明して、
本人が来なくてもおろせる方法はないかと普通に聞いてみた。
するとそういう場合に、
家族の人向けに1日の引き出し金額を制限したカードを、
作ることができると教えてくれた。
ので、それを作ってもらうことにした。
母もそれでお願いすると了解した。
(母はもともとカードを作って無いか、どこかに仕舞ったまま忘れたか、そんな感じ)
ひとまずはそれで、
今後は僕が母のためにおろしてあげるつもりにした。
だって、
これから度々姉に、
「お母さんおろしてきて」と言われて、
母が行かなければいけないのだから。
足腰の危なさもさることながら、
そのたびに銀行なんてところに行ってしばらくそこに居て、
母の神経も疲れてしまうわけだ。
「散歩に行くのが体にいい」とかいうのとは別の話だ。
で、
その日やはり母はもう銀行に行っただけで疲れて、
何が何かわからなくなったみたいだし、
もう「そのことを姉に言うかどうか」も、
僕からは母には相談はせずにいた。
後日カードが書留で届いた時も、
「僕が持っておこうか?」と言うと、
母は軽く「うん、そんでええ」と言った。
もしかしたらよくわかっていなかったかもしれない。
そして、
そのあとは忘れていたと思う。
それに、
カードを作ったと姉に言うと、
もうきっとすぐに「それなら、助かった」ってなもんで、
「それ私が使うわ」
と当然のように言うに決まっている。
絶対間違いない。
必ずすぐにシレッと言ってくる。
と、
その時からそう思っていた。
人に丸投げして、
大変なこととか手間なこととかやらせておいて、
それで、
ラクなところだけ持っていって「私もしている」形にする、
ズルっこいところがまぁもともと昔から今に渡って、
姉にはものすごくある。
それから、
面倒なこととかは、
出来ないくせにやらないくせに、
「人を管理したい」という気持ちはとても強いので、
さらに母のお金のカードになると、
それは自分が支配したいだろうし。
でもまあ、
最終的には渡すことになるのはその時から思ってた。
だって、
前のその時に姉が頼んだお金が32万、
今後もそれと同じとすると、
カードの制限が10万だから分けて出さないといけない。
全額には4日かかるし明細も4つになる。
それをみた時点で姉は「ナンダ?これは」と母にやかましく言うに決まっている。
けど、
そうだとしてもそうなるまではこのままにしておくことにした。
ここまで姉の行動とこの後のことも色々と分かりきっていて、
あっさり渡すのもバカみたいだし、
もし、
絶対ありえないけれど、
姉が「じゃあハジメにやってもらおうか」と言えば、
そのまま僕がやろうと。
そう思っていた。
まぁでも、
それはないだろうな、
とも。
●
さて、
その11月のことからそのまま日が過ぎて、
今月のアタマの2月5日、
毎朝している母への電話の時に母が、
「●子がまたハジメと一緒にお金おろしてきてって言ってるねん」と言った。
きたか。
あれからほぼ三ヶ月。
そうか、三ヶ月置きのの最初頃に下ろすパターンだったのか、
と思う。
そのあと家を出てから、
途中でその銀行に寄ってまずは10万円降ろして、
とにかく母のところへ。
で、
「前作ったこのカードで10万降ろしてきた。
32万やからあと4日かかるで」
と母に確認した。
すると母は、
それには「わかった」と言いつつ、
通帳やハンコなどまとめているビニールを両手で握って持って、
まぁとりあえずは姉にこう言われたと報告するように、
「これで行ってきてって●子が言うてん」と。
そしてさらに、
「それから、これもついでに行ってきてって。これ行ってきてあげなあかんねん」
と言った。
見るとその中に、
お誕生月の人へのプレゼント引き換えのハガキが2枚入っていた。
1枚は母の分だが、一枚は姉の分だ。
(ふたりとも2月生まれ)
はぁ? なんだ?!
ついでに自分のプレゼント引き換えも行かせるのか?
逆じゃないか?
そのくらい自分に来た分を引き換えに行った時に、
母の分ももらってきてあげるのが普通とちゃうのん?
「私ももらいに行ってくるからついでにもらってくるわ」って。
今や動けない母へ対しては当然とちがうの?
お金の下ろすのはまた別として。
ええっ?なんでそう?
母への優しさとか感謝はいったいどこにある?
ほんとにできるだけラクしてついでに人を使う。
(前にも何か父の相続からみの銀行の手続き時もあったな)
弱っている人であろうが「ついでやからええやろ」とこき使う。
特に母にはもう昔からしたい放題。
そのものすごい根性。
そして弟だって使い放題で平気だ。
そして、そうしながら、
やっぱり口ではとても良く言って、
「自分はすごくいい子」風にアピールする。
●
で、
その日、休憩中にふと母が、
「今日全額揃ってないのを●子に何と言おうか?」と聞いた。
そして、
「カード1日に10万円しかおろせないからって言っておこうか?」
と言った。
聞くとその後もカードを作ったのは言ってないようで。
言い忘れてるのかもしれないし、
言いにくかったのかもしれない。
だいたい姉は一人でしゃべりまくっているかテレビを見入っているかだしなぁ。
だから、
姉は知らないから、
それを言うと姉はまず聞いていなかったことを怒って、
しかも予想どおりカードが欲しいと言うだろうなぁ。
自分は何もせずに。
上にも書いたようにラクをしたいくせに、
外の世界で何もできない分、
家の中は「管理して支配」みたいにしたがるからなぁ。
それは僕としては少しイヤな感じでハラも立つ。
が、どのみち10万づつとATMからと言うことで、
分かってしまうから、
まぁいいか、と。
姉は心が小さい人間なので、
母が何かガンガン怒られてしまうかもしれないのが心配だけれど、
ちょっとそのまま母が思った流れにまかせることにした。
●
さてその日、
自分の部屋に帰ってから、
すぐに姉から電話があった。
で、強い声で立て続けにこう言った。
「カード作ってたん!!」
「そんなんぜんぜん聞いてない!!」
「わざと言わへんかったん?!! ねぇっ?!!ねぇっ?!!」
案の定怒ってる。
眉間に寄せて眉毛が上がって口が斜めに開いている顔まで想像できる。
コワイコワイ。
僕はストレートに、
「うん!」
と言った。
「そうなんや! ほんならわざと言わへんかったんやな!!!!」
とまたまた声がコワイ。
で、僕はこう答えた。
「だって、まるなげされたから、
全部任せてもらおうと思って」
と姉は、
「ま、まるなげ?!!!…」
とまるでマンガの吹き出しのセリフみたいに詰まって返した。
そしてまた、
たたみ掛けるように、
姉は自分では気付いてないかもしれないけれども、
どこかの子供が横で聞いたら泣きそうなスゴイ勢いの声で言った。
「別に丸投げしてないもんっ!
私もいつも銀行の人に説明したけど、
わかってくれへんかってんもん!
疑われてすごくイヤやってんもん!
それに、向こうの人も私には、
そんなやり方があるって私には提案してくれへんかってんもん!」
「もんもん星人」かい。
姉にとってはあくまで銀行の人のせいで、
ある意味僕はたまたまラッキーだったということにしたいらしい。
なんだそれは。
人の労力を何と思っているのか。
だからこう返した。
「ちゃうよ!、向こうから提案してくれたりせえへんよ。
別に向こうからは何も言ってくれへんけど、
こっちから “何か方法はないですか?” と聞いたんやん」
姉は、
ぐっ、とまたまたまるでマンガの一コマみたいは黙った。
さらに、僕は、
「そういう時は今度から諦めずに、
ちゃんとねぱって自分から方法を聞いたりしーな」
と言った。
姉はなんかよくわからないような声を発したような気がする。
「あ、うぅ゛」みたいな。
でも、
次に姉は、
声を鎮めてちょっと間があってから急に卑屈にお願いするように、
こう言った。
「そのカード、私が使ってもいいかなぁ?」
そして、
そのカードがあったら、
自分が便利で助かる理由をペラペラといくつか早口でしゃべった。
(聞く気がしなくていちいち覚えていない)
まぁ、
そうくるよなぁ、
姉がそうこないわけはないなぁ。
管理はしたいだろうしなぁ。
これからも母を行かせる気だったくせにな。
もうわかってたし、
拒否するときっとキーッとなって後で母に八つ当たりしてあげく、
僕にカードを「渡すように言って!」みたいに母に言いまくるかもしれない。
母がかわいそうだ。
だからあっさりと、
「うんいいよ、渡すよ」
と僕は言った。
するとまた姉はいい声を出して、
それでどんなに助かるかをペラペラしゃべった気がする。
(いちいち覚えていない)
でも、
ひとことくらい言っておきたくなって、
僕はするっとこう言った。
「えーなぁー、お姉ちゃんは、
全部人にやってもらってラクで」
そらそのくらい言われるわなー、
そんなことしてたら、
普通この程度のイヤミは。
しゃーないわなー。
でもやはりそれを聞いて、
自分を否定されたから、
なんかものすごくカッとなった感じに、
ガーッとなって姉しゃべった。
何かいろいろとねちねちクドクドと言ってた気がするけれど、
あんまり覚えていない。
そのひつこさで銀行の人にもねばってくればいいのに。
外では無理なんだ。
そして、
それきっかけに、
姉は僕に対する態度のスイッチを、
「敵」モードに変えたのがわかった。
●
姉という人の印象。
姉は、まるで、
体の前に下から出ているレバーがあって、
一方に倒せば「味方」、
一方に倒せば「敵」。
そんなレバーを絶えず両手でぐっと握っていて、
常に「お前はどうだどうだ」とギリギリ思ってレバーをグイグイしていて、
そして相手が何か言ってそれが気に入らなければ、
「お前は敵やーー!!」
と思ってレバーを「敵」の方にガチャーッ!!と倒す。
そうなったら、
もう全面的に敵だからやっつけないと気がすまない。
外では我慢して言えない場合も多いが家の人には言いたい放題、
理屈も道理も関係ないし、
そこまで話していた話はもう関係ないし、
言っていることがめちゃくちゃでも、
とにかく自分がスッキリするまで敵はやっつけ続けたい。
そんな感じ。
そしてどっちかというと、
「敵」の方に倒すことの方が多い。
自分にとっていいことをしてくれた時だけ、
レパーを「味方」の方にガチャっと。
でもレバーはずっと握り続けていて、
何かまたイヤなことがあったら、
すぐに「やっぱりお前は敵やーっ!」と反対方向にガチャ!
そういえば、
父もそんなところがあった。
父の元気な頃は、父と姉が、
お互いにレバーを持って向かいあって睨み合っているという、
きっと絵にするとものすごく可笑しいような、
そんな感じだったな。
●
で、
その時の姉も、
僕のさっきの「ラクでええなぁ〜」一言が気に入らなくて、
スイッチは「敵」になったので、
もうとにかく、
「ああ、私は、自分は、いい人で可哀想な人なのに、
お前なんか悪い敵だ!!」
という感じに、
それまでの銀行のカードの話からは外れて、
とにかく敵を全面無差別攻撃だ、
ってな感じに、
ガンガンと電話は続いた。
でもそれは、
姉の心の本当のところがよくわかる話だった。
すぐに「ハジメの心がわかったわ」とかよく言う姉の、
よくわかる心だった。
(つづく)