ここまで、
実際に褒めたくなるので結構褒めてきたロンドンですが、
しかし、
世界的な「日本食の広がり」もあってか、
「なんちゃって日本」も、
いくつか目にしてきました。
まず、
2日目に案内してもらった、
Msちゃんの家の最寄り駅のお店が並んでいる通りで、
彼女がちょっとあきれながら教えてくれた、
寿司のお店「スモウ・フレッシュ」。
これはどう見てもヘンテコ。
全身真っ赤になって汗が水蒸気になって、
ハアハア言ってるお相撲取りさんを思ってしまいます。
それに、
「ちゃんこ鍋」とかの店ではなく、
寿司屋で、
「スモウ・フレッシュ」。
なんだか、
変身ヒーローの叫び声風に、
ちょっと張りのある声でいいたくなりますよね?
「スモォゥー・フレーッッシュー!」
しかも、
だいたいお相撲さんは、
「かんざし」なんか刺していません。
それは、「かんざし」でしょう?
| どすこーい! /
それから、
3日目の、
ビートルズがらみの場所を求めて1人歩きした時に、
ベーカーストリートで見かけた寿司のお店。
こちらはなんだかまだちゃんとした感じです。
日本人がやっているのでしょうか。
と思ったのだけれど、
刺身のヨコにオレンジだし、
巻物の中身もなんだかビミョーに違うような。
よーく見ればみるほどに、
うーん、ちょっとなんか違うようなー…、
な感でした。
そして一番笑ったのが、
4日目に行ったガムデン・ロック・マーケットでの、
「なんちゃって日本」。
前にも書いたように、ここでは、
世界のいろんな国の食べ物の屋台があって、
日本もありましたありました。
いや、「どうやら日本のよう」です。
店の名前は、
「たなかつ」。
カツのスペシャリストです。
まぁ、カツの専門店といったところでしょうか?
看板あたりはさほど問題ありません。
しかし、
ギョウザ?
え?
しかも、
他のカツモノやテリヤキものもそうなのですが、
細長いお皿の上にご飯を薄く敷き詰めて、
その上にギョウザが乗っています。
はぁ?
しかも紅ショウガ?
うーーむ、それは無いでしょう。
いや、
日本でもやればウケそうな気がしないでもないですし、
食べてみると悪くないかもしれないし、
もしかしたら僕が知らないだけで、
どこかの日本の地域では大人気なのかもしれないですが、
そうじゃないとしたら、
「それは違います」。
それに、
売っている人、
「スモウレスラー」風な人を選んだのでしょうが、
僕から見たらどう見ても「太った東南アジアのおじさん」です。
が、
しかし、ですよ、
ここで、
「なんだ、いいかげんじゃないか!」
とか、
「失礼なヤツらだな、イヤだな、腹がたつな」
とか、
居酒屋で愚痴ってるオジサンのように思っては、
絶対にいけません。
何故ならば、
私たちも日本の中でも、
さんざん「なんちゃって西洋」をテキトーにやっている訳です。
大学生のアルバイトのおねえちゃんが、
正確にはスイスなのかオランダなのかよく分からないような、
チロリアン風の民族衣装的なものを着て、
ヨーグルトを売っていたりするわけです。
その手の「なんちゃって西洋」のどこからどこまで正しくて、
どこからどこまでがテキトーなのか、
そのあたりすらテキトーで解らないまま、
チーフマネージャーに「あキミ、コレ着てコレ売ってね」、
なんて言われたままに、
さんざん「どこかの国風」をやったりしていて、
たぶんその国の人が見たら、
「オイオイ、ソレハゼッタイナイデース」ということも、
きっと、いや絶対にある筈なので、
お互い様 なのです。
だから、
こういう場合は、
「そう来るかー!」とか、
「あ、意外といけるかもよ、ありがとう!」
なんて笑って楽しむのが正しいありかたかもしれないですね。
そういう風に思うと、
「なんちゃって」も結構楽しめたりします。
さて、
ロンドンにも、
「日本の食材ばかりを専門に売っているお店」もあるのですが、
スーパーや街の魚屋さんなどでフツーに売っている、
「日本のもの」もあったりします。
今回、それを見かけると、
実際に日本でその商品を買うのかどうかは別にして、
なんだかちょっとウレシかったです。
例えば、普通のスーパーにあった、
キッコーマンの「醤油」こと「ソイ・ソース」。
それから、
醤油とくれば、「わさび」。
エスビーです。
そして、
ラーメン「出前一丁」。
これは後になって、
「買って帰ればヨカッタ」と思ったりしてます。
ちょっと味を比べてみたいというのもあるし、
あと、こういうのが大好きなNという友人がいて、
彼にピッタリなお土産だったんだがなーと、
帰国して写真を見返してから思ったりしました。
最近では普段、以前ほどは、
インスタントラーメンを食べないようにしているので
善し悪しでもあるのですが、
話のネタとしては面白かったかもしれないなんて、
思ったりしました。
ところで、
今回のロンドン行きでは、
お米や味噌や梅干しや乾物やなどの、
ナマモノではない日本の食材をお土産に持って行きました。
で、
そのうちの「焼き海苔」を使って、
手巻き寿司をしようということになりました。
最初は、ロンドンの中心部にあるお刺身を売っているお店で、
生魚を買ってきてするつもりだったのですが、
時間などの都合から、
2日目に近所で買ってきたものや他のあり合わせのもので、
やってしまおうということになりました。
「海苔も売っていて手には入るのだけど、
なんだかもっとシナッとしていて、
こういうパリッとしたのは無いのよー」
とMsちゃん。
TくんとDくんら子供たちも、
「オイシイー」といいながらパリパリムシャムシャ食べます。
そして、
Rくんが「コレガタノシミデシタネ」と日本語で言ってくれた、
持って行った「日本酒」で大人たちは乾杯します。
「オイシイー」。
食事が終わって、
テーブルに置かれた空き瓶と、
その向こうの緑の庭を眺めます。
持参した日本酒は、
僕がここ数年好んで、
「新酒のしぼりたて」「夏の一火」「ひやおろし」など、
一年を通じていろんな状態のお酒を楽しんでいる、
「仙介」という銘柄のお酒で、
種類は「純米大吟醸」でした。
(さすがに夏なので生酒はもっていけない)
なんだか、
いつも好きで飲んでいる名前の日本酒を、
遠くロンドンで和食とともに飲んで、
いいキモチになれるのが、
ニコニコとしているのが、
とても不思議で、
何ともいえずシアワセな感じでした。
いや、そう、うん、これは思い切りシアワセなことを、
してきたのかもしれません。
本当に、
こういう場を実現させてくれた、
MsちゃんやRくんには感謝です。
日本は、
「日本のキモチ」で成り立っているんです。
それは、「日本のキモチ」で出来たものさえあれば、
きっと何気ないところで、またそうところにこそ、
こんな風に「ある」ものかもしれません。
なんて事を、
ロンドンでのことを振り返ったりしながら、
思ったりするのです。
そんなこんなです。