去年のことになるけれど、
自分で練って作るカラシを買いたくて、
そこそこ品揃えのあるスーパーに行って、
香辛料のコーナーに行った。
そして、
しゃがんで棚を見ていて、
あるものを見つけて小さく「あっ!」とつぶやいてしまった。
それは、これ。
これは「白こしょう」なのだけれど、
かつて僕はこれを間違って「白にょろ」と読んでしまったことがある。
今から20年くらい前、
STUDIO HARZという名前でハルナツトムとCD-ROM作品を作っていた頃、
「ハルツガーデン」というホームページをやっていた。
そのホームページの中で、
「うふふ日本」という、
ちょっとしたおもしろネタ話を書くコーナーを設けていた。
基本的に僕が毎月何かしら書いて、
あとは、ハルナや当時の発売元のスタッフが書いたものや、
それから、
ホームページを見てくれているヒトが投稿してくれたりした、
いろんな話を載せていた。
そこで、
「白にょろ」の話を載せた。
以下、当時のまんま。
うふふNo.4 白にょろ (By 佐野元)
ある日の実家に帰った時の事。
「ただいまー」と言いながら食堂に入ると、テーブルの上に小ビンが置いてあった。錠剤の薬が入っている様な小さなガラスのビンだ。
「何やろ?」と思って上からパッと見ると、ラベルに「白にょろ」と書いてあった。
「白にょろー?」
僕の頭の中はたちまち?????だらけになった。
そして続いて、「白にょろとは何や?白くてにょろにょろしたものが入っているのか?」と僕の頭の中は想像でふくれあがった。
ちょうどそこに母親が入ってきたので「この白にょろって何?」と聞いてみた。すると、母親は不思議そうな顔をして、
「それ、こしょうよ」と言った。
「へ?」
そう思って、ビンを取り上げてよく見てみた。
なるほど、達者な字だから「こ」と「し」がくっついて「に」に見え、「う」の上の部分がつながっているので「ろ」に見えたのだ。
「白こしょう」
僕は一人で「なーんだ。へへへへ」と笑いながらも、「白にょろだったらよかったのに。白にょろ、見てみたかった」と少し残念に思ったのでした。
(ちなみに母親はこの白こしょうを京都で買ったそうです)
これを書いたのは、
たぶん1996年頃。
「実家」と書いてはいるが、
正確には「実家の家族が住んでいた仮設住宅」である。
そう、阪神淡路大震災から1年後くらい。
とにかく、
そんな状況も蘇らせてもらったりしながら、
僕は「白にょろ」に、
19年後くらいの神戸のスーパーで再会した。
「よっ、白にょろ」
この文章を載せていた「うふふ日本」のコーナーには、
先日「パーフェクトレインボー」を一緒に見た友人Nも、
投稿してくれたり、ネタになる情報を提供してくれたりしていた。
たとえば、
彼が地元の喫茶店の水槽で発見した、
鳥が木の枝にとまるように珊瑚にピタッととまる、
「ベニゴンベ」という魚のこととか、
彼が地元近隣の公衆電話ボックスで発見した、
受話器が2つついた、
「二丁拳銃公衆電話」とか。
ちょいと、
普通の人がなかなか気づかないようなネタをくれたものだった。
それから、
当時ホームページを見てくれていた人の中で、
一番多く投稿してくれたのが、
今はフリーのライターをしている丘村奈央子さん。
熱心にいろいろとネタ話を書いては送ってくれた。
その彼女の話の中で、今でもたまに思い出すのがコレ。
うふふNo.17 特別高く
テレビショッピングのアナウンスで「特別価格」というのがありますが、私はしばらく「とくべつたかく」だと思っていました。
安さを売り物にしているはずなのに変だとは感じましたが、
きっと価値の高さとかを表す何か独特の言い回しだと思っていました。
うん、懐かしい。
当時はまだプロの文筆業にはなっていなかったのだけれど、
現在ではインタビューを得意とするフリーのライターさんだ。
丘村さんとは今でもネット上で繋がっていて、
FaceBookなどを通じてアレコレと活動をしているのを見ると、
「もとバイト先のおっちゃん」的なキモチで、
ちょっとなんだかウレシかったりする。
「白にょろ」からはじまって、
「うふふ日本」のアレコレをずるずるっと引っ張りだしてみた。
ちなみに、
その「うふふ日本」のコーナー、
スタジオハルツのホームページ自体が発売元の都合でネット上から消えた時に、
「なごむアトリエ」の中にそのコーナーだけを移動している。
「なごむアトリエ」の「昔のなごむアトリエ」のページの、
「なごむアミューズメント」の中の「記録うふふ日本」のところに、
全て残しています。
面倒で無ければ探してください。
そんなこんなです。