2000年あたりからの数年、
個人のホームページが盛り上がった時期があった。
パソコンとインターネットのプロパイダーが一般にダーッと普及して、
パソコンに付属のホームページ作成ソフトで作ったホームページを、
多くの人がドンドンとネットにアップした頃だ。
そして、本人も他の人が作ったそういったホームページを見に行って、
気に入ったらメールを出してお互いにリンクを張りあったりするのが、
楽しかった頃だ。ほんとうに単純に楽しかった。
世界がグーンと広がったようで。
思えば、
見知らぬ人と疑うこと無くメールをやりとりしたり、
場合によっては約束をして外で会ったり、
ネットの世界も純粋で平和でのんびりした時代だったと思う。
僕も当時、
「なごむアトリエ見ました」と沢山のメールを貰った。
その中には印象的だったり「?」だったりしたメールも幾つかあった。
そのうちのひとつにこんな感じのメールがあった。
「深夜、ベットでノートパソコンでネットサーフィンをしていて、
あなたのサイトのトップページが開いたら、
ピンポンと大きな音がして横で寝ていた妻が起きて、
怒られてしまったではないですか!
もっと音を小さくしておいてください!」
「ピンポンという大きな音」という部分について説明すると、
僕のサイト「なごむアトリエ」はその当時、
エクスプローラーなどのブラウザに限って、
トップページに行くと「ピンポン!」と音がするような作りにしていた。
そりゃ、
音の大きさについては作った僕が考えるべきことだろう。
単に「もう少し音を小さくした方がいいと思いますよ」というメールならば、
僕だって素直に受け入れもするだろう。
けど、「妻に怒られた」のは僕のサイトのせいか?
だいたい、深夜ベットで妻が横に寝ているのに、
寝床でゴニョゴニョとネットサーフィンなんてしていたアナタが、
そもそもの原因じゃないのか?
それはつまり、ただただ、アナタが妻に、
「オオオオゥ、ハニー、オコシテシマイマシシタネェ〜、
ワタシノセイデェェスゴメンナサァィィ、オコラナイデェェ、ヨーコォ。
ハヤクネテクダサァァィ、アイテルヨォォォ。チュチュチュ」
とあやまるべきだけな話じゃないのか?
もし僕がアナタの奥さんで、
後からアナタに、
「あのピンポンの音でお前を起こしたホームページに、文句のメール送ったったでーっ」と聴かされたとしたらきっと、
「えーーーっ! ウソーーッ! アンタ、そんなメール送ったん?! ワタシが怒ったって書いて!? 何ゆうてんのーアンタが深夜にベットでパソコンいじってたせいやんかー。もう、やめてよー、そんなんするのんー! もぉー、恥ずかしいわぁぁー! ほんと、いやっ! この人もぉぉっ!」
っと言うだろう。
と、
そんな風にメールの主に思いながらも、
まぁ、買い言葉でやり返しても大人げないので,
「そうですかぁ、奥さんに"起こしてしまってスイマセン"と謝っておいてください」
と遠回しにチクリとしつつも、謝ったメールを送っておいた。
が、こんなメールを送っても、
「自分だけスッキリしたい」的なおじさんは、
きっと「何でオレには謝ってくれへんねん!」とダミ声で思うくらいで、
ちっともこたえないんだろうなぁ、
と思ったりしながら。
あれから10数年。
この間にヨノナカも人の感じ方や思いも結構変わったと思う。
「離婚」というものに関して、僕は個人的には、
「良くない」とか「何だそれはイカンなぁ」とか思ったことは無い。
だって、何せ僕自信、自分の思いに正直に、
会社を辞めて好きな道に行ったり無謀にもフリーになったりした人間だ。
「離婚」にもみんなそれぞれ事情や思いや気持ちがあるだろうし、
それによって次の自分の何かが自分らしく始められるならば、
それはそれでいいんじゃないかと思っている。
こう言うと、中には、
「そりゃアナタは子供がいてへんからそう気軽に言えるけれど、
子供がおってみぃ、離婚のアレがコレでソレやゆうことは絶対解らへんから、
そんな風な気楽なドレがドミソのミファラなんや、ヘヘッ」
という、
一番責めやすそうなところから言いたがる人もいるかもしれない。
でも、だからこそ逆に、
「子供がいたら離婚したくてもそらねぇ、なかなかねぇ」なんて、
「解ったようなありがちな言い方」を僕はしなくってもいいだろう。
子供がいない者だからこそ純粋に客観的に、
離婚肯定派のポジションをとりたいと思う。
そして、実際、
僕の知るところでも、
離婚をしたカップルが数人いる。
離婚の理由は色々だと思う。
若くて相手と自分の事がちゃんと見えないまま結婚したあとで、
お互いの性格の不一致が明らかになって離婚するケースもあるだろう。
けれど、
ある程度結婚生活を送ったのちに離婚をしたカップルを見ていると、
どうも「妻が、旦那に対して愛想を尽かした」場合が、
多いように思えるなぁ。
さて、もう一度。
あれから10数年。
あの「ピンポンに文句」のメールを送ってきた彼は、
大丈夫だろうか?
あの「妻」に愛想を尽かされて、
「離婚」なんてことになっていないだろうか?
と、
ふと思ったりするのだ。
そんなこんなです。