先日、
神戸市立博物館でやっている「北斎展」を観てきた。
なんとなくだけれど、
この10年くらいで、
北斎の注目度が、
以前にも増してドンと上がってきた気がする。
まぁ、北斎は好きなのでウレシイことだとは思うけれど、
展覧会でドカンドカンと人が多いのは、
善し悪しだな。
トコロテンのようにニューと押されるように、
固まって前に進むのは、ほんと趣味じゃない。
今現在はまだ、
言うほどそんなには展覧会で人の入らない作家で、
100年くらいしたら満員でトコロテン、
なんて場合もあるのだろうな。
そういうのを今、観に行っておきたいなぁ。
でも、将来そうなる確認のしようはないけれど。
それにしても、
有名な、
波がザッバーンの向こうに小さく富士山な「神奈川沖浪裏」や、
赤富士こと「凱風快晴」の前に行くと、
ついつい「永谷園」と思ってしまう。
絵にとっていいのか悪いのか。
(昔、永谷園のお茶づけ海苔に、名画カードがオマケで入っていて、北斎のシリーズもあった)
色んな意味で脳天気だったあの昭和な時代っていうのは、
結構、
人の頭にホントにヨケイなものを一杯インプットして。
まぁ、確かに、昭和は楽しかったけれどねぇー、
でも、
あのころの沢山の「テキトーなすり込み」は、
今となってはヨケイで善し悪しなものが多くあるなー、
と最近ほんとに思う。
| みんなー、人多いわよー、多いわよー! /
そういえば、
イラストの仕事や沢山の別の載せたいことなど、
他のタイミングと重なってここには載せられなかったけれど、
5月の中頃、
篠山紀信さんの写真展に行ってきた。
これは一昨年からずっと、
アチラコチラの美術館を巡回していて、
去年の春、友人と広島に行ったときに丁度、
岡山県の高梁(たかはし)市の美術館でやっていた。
友人とは夜に広島で待ち合わせしていたので、
もし予定より少し早く出ることができたら、
広島に行く前に岡山で降りてササッと見に行ってこようと、
思ったりしていた。
結局、作業などがあって早くは出られなかったので、
まっすぐ広島に行って友人と落ち合ったが、
そんな計画があったのをその友人(岡山県在住)に言うと、
「いや、でも、ササッとはムリじゃ。高梁はかなり不便なんじゃ」
なんて教えられて、
「そうなんやー、下手にチャレンジせんで良かったかな?」
「んー、そりゃ佐野、絶対ダメじゃ」なんて言い合って笑った。
そういうのがあったので、
かなり記憶に残りつつも、
「篠山紀信を見られるチャンスもないかな」と思っていたら、
先月になって、
JR大阪駅の北側に出来たグランフロントで、
開催することを知った。
「え? 前にみた展覧会サイトの予定にそんなのあったっけ?」
と思ったが、後で買ってきた図録を見たら、
そこに印刷されているスケジュールには入っていなかったので、
急遽、開催が確定したのかもしれない。
とにかく当初は関西での開催は無かったので。
となれば、
近くでやっているのを知ったからには、
行かなければと、
丁度忙しい頃だったけれど、
無理矢理時間を作って行ってきた。
写真展と聴いて勝手に頭で思っていたよりも、
かなり大きなサイズに延ばした写真が、
ドカーンドカーンと展示していた。
数自体はそんなに多くは無かったけれど、
兎に角、大サイズが迫力。
山口百恵、美空ひばり、勝新太郎、夏目雅子、大原麗子、
松田聖子、宮崎美子、ビートたけし、キャロル、王貞治、
ピンクレディー、吉永小百合、宮沢りえ、カルメン・マキ、
海老蔵、杏、澤穂希、蒼井優、AKB48、などなど。
篠山紀信さんは、見方によっては、
「有名人を写す流行カメラマン」。
でもそういうポジションはタイヘンだな。
あまりに大衆すぎて「芸術」よりも低くみられたり、
どうしても目立ってしまうので、
中には「儲けやがって、へっ!」という視点だけしか持てない、
だみ声のオッサンに嫉妬されたり。
けどよ、
「北斎」だってその活動当時は、
「流行が存在を左右する浮世絵の世界」の絵師だ。
今でいう大衆流行カメラマンに近い。
だけど、
現在では海外の所有美術館が手放したくないほどにアートだ。
「いいなー、いいなー」と思う。
だみ声のオッサンはもう放っておこう。
そう思いながら、
もう一度買ってきた図録を観ていると、
上半身だけを大きく写した篠山紀信さんの写真は、
まるで浮世絵の「大首絵」(上半身を大きく描く浮世絵のスタイル)
に見えてくる。
さ、
6月も半ばに突入してきた。
暑くなりつつ、
まだ過ごしやすい日もあるこの季節に、
今後も踏まえた、
前とはちょっと違う、
生活パターンや作業パターンを確立していきたいなぁ、
なんてちょっと思ったりしつつの。
そんなこんなです。