今年の2月5日に、
「夏の庭」の神戸が観たい。
という記事を書いた。
1994年に相米慎二監督で作られた、
ここの近所と震災前の神戸がチラチラと映っている映画で、
その後レンタルが始まってから一度ビデオを借りて観たことがあった。
で、去年、
その映画の原作「夏の庭 The Friends」(湯本香樹実・著)を読んだので、
もう一度その映画を観たくなった。
というのも、
その映画に使われていて今は無くなったこの近所の建物と、
震災前のこの近辺と神戸の風景が見たくなったのだ。
けれど、DVDにはなっていなくて、
地上波のテレビではなかなかやりそうもなく、
ずっと「見たいなぁ」と思っていた。
が、先日、
友人が録画したDVD-Rをくれて、
念願かなって入手。
うん、なんでもしぶとく願っておくものだ。
ほんとにそうよ。
すぐにあきらめたらいけない。
で、ようやく観ることができた。
ああ、映っている。
あの、今は建て替えられてなくなった古い公民会館。
今は閉店してしまった前の喫茶店。
それから、当時はあまり通らなかったので気付かなかったけれど、
このマンションの前の道をずっと北に進んで踏切をこえて続く、
散歩道への行き帰りなどにも通るあの急な坂道。
あと、
ここからずっと山手に行ったところにある甲南病院とか、
六甲ライナーの高架と共に映る住吉川とか、
灘区にある川のずっと上流のあたりとか、
同じく灘区にある桜の坂道とか。
それから、芦屋の、
一昨年から1年だけ住んだトコロの近くの橋のあたりとか、
その最寄り駅の阪急芦屋川の山側の商店街とか(たぶん)。
あと、あれはトアロードかなぁ?三宮か元町あたりのどこか。
たぶん河南工芸社の前じゃないかなぁ。
で、そうやってチェックしながら見ていると、
カメラアングルが非常にウマイ。
出来るだけ場所が特定できるものが映らないように隠している。
なのでもちろん、観光地的に神戸らしいものは何1つ映っていない。
たぶん、そういうこだわりなのだろう。
さて、
観たかったものが確認できて、
とりあえずは満足。
で、
観ていて思ったことがある。
映像は正直だ。
映っているあのころの神戸の「空気感」。
絶対に今よりものんびりとしている。
地震もまだきていない。
不景気は始まっていたけれど今ほど深刻ではない。
数年前からの妙な「セレブブーム」みたいなものも来ていないし、
まだマンションだらけになっていない。
そして何より、
携帯電話見ながら歩いている人など誰もいない。
(あたり前だけれど)
ちゃんと前を向いたり、辺りを眺めたりして歩いている。
もちろんそれらは、
地震を除くとどこでもそうなのかもしれないけれど。
人から発せられる「空気感」も、
最近よく見かける、
「あせっている感」とか「かかえ込んでいる感」とか「あきらめちゃった感」とか、
「調子こいでいる感」とか「ふざけている感」とか「ムカツイテル感」とか、
そういうのもあんまりない。
とにかく、
映画「夏の庭」の中には、
今思えばまだ比較的のんびりとしていた日本の中の、
震災前の神戸がありました。
ところで、
映画のストーリーとか内容とかだけれど、
それに関しては、
興味があれば調べてもらえたら。
そんなこんなです。
(文中の2つの神戸の写真は共に1993年。
上から、
JRの北側から見た阪急三宮駅、
神戸交通センタービル前の横断歩道から見た神戸新聞会館。
そして右→の本は、
1994年に発刊の神戸の案内本)