ワタシの道具たち(その2)
アクリルガッシュ
シリーズ2回目は、
普段、カラーの絵を描くときに使っている、
絵の具について。
僕が使ってるのは、
「アクリルガッシュ」という種類の絵の具です。
メーカーは別に決めていないけれど、
ターナー社の「アクリルガッシュ」と、
ホルベイン工業の「アクリラガッシュ」の2種類を使っています。
なぜかというと、
たとえば、同じ「グリーン」と名の付いたものでも、
ビミョーに違っていたりするし、
一方にしか無い色もあったりするんです。
だから、全部じゃないけれど、
この2社の絵の具をアレコレ混ぜて持っています。
「アクリルガッシュ」とはどういう絵の具かというと、
まず「ガッシュ(グワッシュ)」って種類の絵の具があって、
それは「不透明水彩絵の具」という種類の絵の具です。
よーするに「普通に塗ったら不透明になる水性の絵の具」なんだけど、
(説明になってない?)
小中学校などで使った「ポスターカラー」なんかがそうです。
で、
その「ガッシュ系絵の具」の「アクリル絵の具系」が、
「アクリルガッシュ」です。(ええい、ややこしい)
まぁ、よーするに、
「ガッシュ絵の具」の「アクリル樹脂が混ざった」バージョンですね。
アクリル樹脂が混ざっているから、乾けば「耐水性」です。
「ポスターカラー」は塗って乾いても上から水がかかるとにじんじゃうけれど、
「アクリルガッシュ」は水がかかってもダイジョウブ。
そういうところでは安心な絵の具です。
だから乾いてから、塗った上に何度も重ね塗り、
というやり方ができます。
気に入らないところを上から直すこともできます。
さてさて一方で、
「アクリル」絵の具ってのもあります。
「アクリル」と「アクリルガッシュ」の違い。
●「アクリル」は半透明です。
水の量を調節すると下の絵の具が透けて見えたりします。
それからツヤがあります。以上のことで、油絵っぽく表現することができます。
ただ、全体をムラなくペタ塗りするには向いてません。
筆のタッチとか活かすのに向いてます。
「リキテックス」というブランドが有名です。
●「アクリルガッシュ」は不透明です。
ツヤがなくて「マット(ツヤ消し)」な感じに仕上がります。
そんなに苦労なく、全体をムラなくペタ塗りするにことができます。
ともにアクリル樹脂が混ざっていて、水性だけれど乾くと「耐水性」で、
重ね塗りができます。
以上が基本的な違い。
もっと知りたい人はネットで検索してね。
ウィキペディアも出てくるよ。
なのだけど、
どうなのかな。
多くの作家さんたちは、
その絵の具の特性を踏まえつつも、
「長所」なところをあえて外れていったり、
「短所」なところをあえて表現してみたりして、
「オリジナル」なノウハウを作っていっているのではないかなぁと思います。
「これはこういう特徴だからそうしなくてはいけない」
というのにとらわれすぎる必要はないと、
最近思います。
さてさて、
自分のことに話を戻して、
昔、絵の具を集め始めたころは、
「アクリル」絵の具を使ってました。
けど、描いていてもどうもなじめなかったのと、
仕上がりにツヤのない方が好きだなぁと思ったのと、
あと、
塗り面がムラ無く均一にベターッと塗ったものが好みだったのとで、
途中から「アクリルガッシュ」を集めることに変えました。
「アクリルガッシュ」はちょっとしたテクニックがあれば、
ムラがなく均一に塗ることができるんです。
仕上がりが「まるで印刷したかのように同じ色の部分が均一になる」
というのはちょっと快感でプロっぼくて当時は好きでした。
フツーではできないことが出来るのがウレシかったのかもしれないですね。
でも、ある時期からちょっと変わって。
パソコンが一般的になって普及型のプリンタの精度があがって、
誰でもいとも簡単にムラの無い色付きの絵ができてしまうようになってきて。
そうなると「ちぇっ、つまんね」ってなもんで。
あと、同じころから、自分の好みとして、
「無機質なモノ」から「アジのあるものがいい」に惹かれるようになって。
ので、
「アクリルガッシュ」を使ってあえてムラのある画面を作るようになりました。
この絵がその最初かな。
ムラなく塗れる「アクリルガッシュ」でムラっぽく塗るには、
ちょっとしたコツがいるし手間も少しかかります。
じゃあ、絵の具を変えればもっとラクではないかとも言えるけれど、
そこはホラ、意地みたいなもんです。
あと、慣れた絵の具でもあるし。
やっているうちに、
「これでしか出てこない雰囲気もあるかな」とも思って。
時間的には、フツーに塗るよりも時間かかります。
だから、雑誌のイラストなどで締め切り迫っている場合には、
フツーに塗って絵を描きます。
そう言う意味でも融通がききます。
いつか絵の具を変える時がくるかもしれないけれど、
今しばらくはきっと「アクリルガッシュ」がメインです。
ところで、
最近「クロスワード」誌の仕事では、
誌面一新のあと、カラー面が無くなり、
カラーのイラストもなくなりました。
ので、
ちょっとしばらく、
チューブのキャップを開けていない。
うーむいかん。
ほって置いたらチューブの中で固まってしまうものもある。
依頼仕事ではない、
個人的な絵も描かねば、
とそう思っているこのごろ。
そんなこんなです。
コメント