前に、
「姉はずっと母の服を着まくっている」ということを書いた。
その時にも書いたが、
母は昔からオシャレでいいものを知っていて、
そこそこ値段もする素敵な洋服を古くからたくさん持っている。
で、
姉は、
それをまるで自分のもののように好きに着ている。
もうずっとそうしている。昔も今も。
自立も結婚もせずに母のそばにベッタリと居ながら。
それに対して今は亡き父や僕が姉に異論を言うと、
ものすごく気に入らないことを言われたように怒る。
「勝手やん! ほっといてよ!!」みたいに。
母はまぁ自分の子は可愛いし仕方なく許してきた。
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さて、
一昨年の秋くらいから、
母は体が弱ってほとんど家にいるようになった。
最初の頃は以前外に着ているような服を普段着におろして、
それを部屋の中で着ていた。
が、次第にそれらの服が傷んでくると、
そのうちに姉がユニクロの服を、
母の部屋着として買ってくるようになった。
まず、
僕は母の持っているオシャレ心が似ていてよくわかるから、
パッと見ただけでも「気に入らない」と思うだろうというのがわかる。
初めのころ「気に入っている?」と聞いてみたら、
「気に入ってない」と小さく答えていた。
しかし、
母はもう仕方がないので姉に従って着ているのだろう。
せっかく買ってきてくれたからというのあるだろう。
今ではほぼ全身ユニクロになってしまっている。
家でもあんなにオシャレにしてたのに。
もちろん母もユニクロは部分的に買ったことはあったが、
「全身ユニクロ」は絶対イヤだろう、本心では。
これまでもそうだし、僕でもそうだから。
それに、
前にまだ着下ろす前の置いてあるユニクロを見たが、
1980円だとかそういう感じだった。
なんかかわいそうだ。
姉は何も思わないのか?
いや、思わないからやっているのだろう。
まぁもしかしたら、
母が「代わりの服を買ってきて」と言ったのかもしれないが、
どうせ母のお金で買うのだから、
もっと他にいい服を吟味して買ってきてあげればいいものを、
簡単にユニクロで済ませるみたいだ。
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で、
このことは、
一方でこういうことでもある。
つまり、
母に1980円の服を着せておいて、
自分は母の数万円の服を着て会社に行っているのだ。
それで平気なのだ。
●
なんか、
やりかたがひどい。
兄弟であることが信じがたい。
もし僕ならば、
もう母自身は外に行けなくなってそう服も次第にいらないのだから、
今までの沢山ある母の服から、
順番に普段着に下ろして母に着せていく、
ということをする。
母も自分でもそうし始めいたし。
母に見せて相談しながら。
できるだけ母の気に入っているいい感じのものからを。
が、姉はそれをしない。
そりゃそうだろう。
母のいいオシャレな服は、
自分が着る用に置いておきたいのだ。
きっと。
わかる。いかにも、
姉らしい。
そして、
母にはユニクロを買ってくるのだ。
そう、
そんなであっても、
どうせ母のお金を使って買うのだから、
母用にも「素敵ないい家着」のようなものを買ってきてあげればまだいいのだが、
母にはユニクロなのだ。
いや、母のお金を使うのであっても、
自分の先々のことを思って残しておきたいからこそなのか、
ユニクロなのだ。
(ユニクロユニクロってごめんね、ユニクロよ)
(姉本人は貯金もたんまり持ってます)
神戸の中心地の三宮で生まれ育ち、
洋裁学校で学んでオシャレな服を着て元町を歩いたりした、
子育て中は家で洋裁を教えそれ以降はブティックで働いた、
そんな母の、
90才を超えた残りの人生に「らしい格好」でいさせてあげたり、
せめて今まで買った服からチョイスして着て過ごさせてあげたり、
そういうことは全く考えもせずに母らしくない服を着せて、
自分の利(自分のもの)にすることだけしか考えてなくて。
孝行の仕方を知らないというかする気もないというか。
もう、ほんとにバチがあたるしかないと思う。
そんな感じなのに、
あんな感じにしていて、おまけに、
母にガンガン「これを着なさい!」なんて偉そうに言っていたら、
さらに大バチな気がする。
今までずっとやさしく服を貸してくれたのに。
そんな仕打ちをしていたら。
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服は肌に触れるものである。
バチのようなものはそういうところに出ちゃうんじゃないかと、
マジでちょっと思っている。
自分のしている良くないことが形になって。
自分が起こしている自分のせいのこととして。
ちょっとコワイようだが、
本気でそう思う。
そんなこんなです。
That's all for now.
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