『コンビニ限定クロスワード』誌分のイラスト完了。
編集部からのお題は、
「冬の味覚の王様? カニの生態を知る」
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編集部からのお題は、
「大陸と島国の名コンビ!? オーストリア&ニュージーランド」
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編集部からのお題は、
「パズルなのに!? 解かない方がいいって、何故?」
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(C)Hajime Sano
(このブログへの掲載は編集部の許可を得ています)
いつのまにか。
その昔、
関西での「うどん屋さん」というものは、
「大阪風のふにゃっとしたうどん」であったのに、
今では街のアチコチで、
「讃岐風のコシのあるうどん」がハバをきかせるようになった。
僕の子供の頃、
つまり昭和の中頃は、
市場とか商店街の一角にたいてい「うどん屋さん」があった。
他の阪神間や神戸でも、
きっとそうだったんじゃないかな。
気取らない庶民的な「うどん屋さん」。
そういう「うどん屋さん」は、
「大阪風のふにゃっとした麺のおうどん」だった。
かつ、
おつゆの色は薄めで、
でもダシの旨みがしっかり効いているものだった。
そして、
たいてい、
「フツーにおいしかった」。
あのころは、
「あの店が美味しい、だの、最高、だの、グルメだの、神、だの」
イチイチそんなことをキャーキャー言わなかったけれど、
今思えばたいていそういう町のうどん屋さんは、
「フツーにおいしかった」。
そんでもって、
母にくっついて買い物にいったチビッコは、
「おうどん食べよか?」とか母に言われ、
うどん屋さんに入って、
「フツーにおいしいきつねうどん」などを、
フーフーと食べた。
今思うけれど、
母たちよ、
自分が小腹が空いてたんだな〜?
推測してみる。
昔はやはり、
この近隣では、
うどん屋さんをやっている人というものは、
大阪で修業したのだろな。
きっと。
大阪は古くから商人の町で、
その中にあるうどん屋さんで、
「大将」のもとで「小僧さん」の頃から修業して、
まぁ、一人前になってきたら、
「善造、そろそろお前も店でもするかー」
なんて言われてね。
善造自身もそろそろ身もかためて、
独立したいなぁ思ってね。
で、
一方、
明治以前の神戸とか(兵庫の港は別にして)、
たぶん昭和初期くらいまでの神戸東部から阪神間なんてのは、
大阪に比べたら郊外の田舎で、
まぁ、あるのは、
田んぼと菜種油の水車と酒蔵と神社と海と松くらいなもんで、
それが、そのうちに、
電車が通って駅ができて住宅も増え始めて、
そうなるとその近くに商店街など、
ぽつぽつと出来てきてね。
ある日、
善造もヨシッと意を決して、
「大将、こないだの話ですねんけど、
ほんならそろそろどっかで店やろうと思いますねん。
そんで、西宮とか芦屋から神戸くらいの間で、
やってみよかと思いますねんけど、
どないでっしゃろ? 大将。どない思います?」
と大将に言うと、
大将も、
「そうか善造、いよいよ独り立ちするか。
ええこっちゃ。お前やったらもう大丈夫やろ。
そやなー、あのあたりな。ええかもしれへんな。
最近、家も増えて開けてきたゆうしな。
そういえば、あの角の足袋屋の福留屋はんな?
あそこの嫁はんの末の妹さんの嫁いだ旦那が、
阪神芦屋の駅に近くの最近出来た三八商店街ゆうとこで、
荒物屋始めたゆうて聴いたから、
まだ店出せるんか、あるなら口ききしてもらえるか、
ワシが聴いてみたるわ。まかしとき。
そうかー、お前も独り立ちするかー。寂しなるなー。
良子も公子も孝太郎も寂しがるやろなー。
お前のことをお兄ちゃんみたいに思とったしなー。
まぁ、けど、そろそろ嫁はんももらわんとあかんしな。
どや、ついでにええ相手も探したろか?」
すると善造、
「いや、大将、そっちの方は、あのー、もう、おるんですわ」
それに大将、
「なんや善造。知らんかったわ。それを先に言わんかいな」
てな具合に、
前の時代においては、
大阪でうどんの修業した人たちが、
阪神間から神戸にかけて「うどん屋さん」を始め、
そしてさらに、そのお店で修業した人たちが、
また独立してお店を開き、
そうやって、あの昭和中頃までの、
「大阪風おうどん」のお店を、
間接的に引き継いできたのではないかと、
そう個人的に推測する。
でも、
今はたぶん、
そういう「修業システム」がきっと昔ほど一般ではない。
アルバイトなら働いているけれど、
「うどん屋で大将の下で修業してゆくゆくはうどん屋に」
という人も昔ほどいないと思う。
また、
かつてうどん屋さんなどがあった、
「商店街」や「市場」自体が、
一般的にはもうやっていけないところが多い訳で。
なんとか残っていた「大将のお店」も、
どんどん大将の高齢化で閉まっていく。
そんな感じだと思う。
で、
チェーン化した会社組織の安い「讃岐うどん店」が、
郊外や幹線・国道沿いにどんどん出来て。
駅のビルやショッピングセンターにもどんどん出来て。
ますます「昔ながらのおうどん屋さん」の客も減って。
そんな風なのだと考える。
大阪に行けば、
まだなんとか、
「大阪風おうどん」は結構残っている気がする。
しかし、
個人的には、
神戸や阪神間でも、
昔ながらの「大阪風おうどん」のお店が、
バンバンとアチコチにあってほしいなぁ、
と、
そう感じているのである。
あのふくよかだった「神戸から阪神間の文化」に、
昔、全く関わらなかった人には、
「そんなん、どうでもええことですわ」かもしれないが、
そこで育った個人としては、
やはり、
そう考えるのである。
ところで、
↑上の雲の写真、
この中に「ジャンプするヤギ」がいます。
見えた人は、
頭が「ふにゃっと」やわらかいです。
そうまるで、
「大阪風のおうどん」
のように。
そんなこんなです。