セブンイレブン限定販売の「ラッキー! クロスワード」誌、
4月号用の「ヒーローパズル」が完了。
発売は2月の下旬。
昔はそんなことは思ってもいなかったのだけれど、
最近テレビのコマーシャルを観ていて思うのは、
本当に今この世の中では思い切り加工品を食べさせたがっているのだなぁ、
と。
「本物の味」とか「本物の風味」とかの、
工場で出来た「なんちゃってー」がタクサン。
いつからこんなになっちゃったんだろうか。
子供の頃、
ウチのキッチンには、
「土井勝の料理本」とか「NHKの今日の料理」だとか、
「洋菓子の作り方」のような本がいくつもあった。
母親はそれを参考にしては、
自身がまだ作ったことのないおかずを作ったりしていたが、
時々、まだ世間では珍しかったり、
西洋からそのころ紹介されだした料理やお菓子を作ってくれたりもした。
昭和の40年代(1960年代後半から70年前半)のことだ。
その中でよく憶えているのが、
洋風の「焼きリンゴ」だ。
ウチにはあるときから、
母親が隣の大野さんにケーキやクッキーを教えてもらって作るために買った、
コンロの上に置いて使う「オーブン」があった。
それで焼くのだけれど、
リンゴはまず芯を抜く。
なんという名前か知らないけれど、
リンゴの中心部にブスッと差してぐりぐりぐりと回しながらつっ込んで、
サッと引っこ抜くと円筒状に芯の部分が切りとれる器具で、
(種部分が少し中に残ったりするのだけれどね)
これだけでも「子供」には面白くて仕方ない。
うまく出来ないくせに「やらせてやらせて」と言ったりする。
そうやって穴をあけたら、
そこにバターとシナモンと砂糖を入れる。
(今思うと、底をふさがないと流れ出てしまうのだけど、
そのあたりはどうしていたのかは憶えていない)
それをオーブンに入れて焼くと、
リンゴの甘酸っぱい匂いがする。
シナモンは要は「浅田飴 ニッキ」と同じ匂いで、
これまたアタマがフワッとする香りがたちこめる。
そうやって出来た「焼きリンゴ」はでろんとした姿で、
それまでは「普通のリンゴ」と「鍋で煮たリンゴ」しか見たことなかったので、
「お前すごいことになっちゃってるでー」みたいな気持ちで、
そのでろりんリンゴをさんざん眺めた、チビの僕だったのだろう。
そして、初めて食べるシナモンとバターの混ざったリンゴを、
ハフハフと口に入れた、チビの僕だったのだろう。
味なんてのは正直言ってそのまんま憶えているのは不可能だから、
「おいしかった」なんて言ってみても、
その味を舌で再現することも伝えることも出来ないのだけれど、
こうやって、今でもその時のことを憶えているということは、
かなり美味しく物珍しく感じたということに違いない。
こうやって作った手間、楽しさ、匂い、見た目などのアレコレが
何年もたっても記憶に残るものになっていくのだろうなぁと。
だから、例えば、
「焼きリンゴ風味チョコ 〜本物の味〜」とか、
「焼きリンゴスナック 〜素材を生かした本格風味〜」とか、
あっても、
個人的には、なんとなく、
お気に入りの人が「あげるわ」とくれたなら「ありがとう」と貰うけれど、
自主的には、出来るなら、
「そういうのは、よく考えると、妙な気がするなぁ」と、
このごろの空の下では思っている。
そんなこんなです。