と、
そのコは言った。
"そう、
キミは僕の引っ越し準備の時期に廊下で会った時にも、
「ワタシもここ長いわ」と言っていたね。
「じゃあもっと居てよ、僕の記録塗り替えてよ」と言うと、
「そうなるかもしれへんわ」と言っていたね。
そして、
「いや、そんなに居なくていいよ」と言うと、
ちょっと「えっ?」てな顔をしていたねぇ。"
そんなことを思い出しながら、
"でも、よかったやん、それよりも早く出ていけて"
と心でこっそりと思いながら、
「僕なんか16年やでぇ」と口にしてみた。
するとそのコは、
「でも1回引っ越したやん」
と言うので、
「ああ、リセットしたからな」
と答えると、
彼女はまたちょっと不思議な顔をした。
話を彼のコトに移してみた。
僕はこれを聴いてみたかったのだ。
「どこで知り合ったん?」
すると彼女は、
「ほら、東京の友達」そう言った。
以前に聴いていた東京にいた友達のコトだ。
もっと前に話を聞いたことがあって、
一度廊下で彼女と一緒のところを見たことのある、
そして、
ピザを一緒に食べに行った時にも話に出てきた、
アメリカ在住の人と結婚をすると聞いていた友達のことだ。
僕は聴いた。
「結婚してアメリカに行った?」
そう言うと彼女は、
「あ、ああ」
ととても曖昧な返事をした。
"アメリカに行った東京の友達の紹介"
"アメリカに行った東京の友達の紹介"
"アメリカに行った東京の友達の紹介"
と僕は心の中で文章の正誤を何度も確認しながら、
彼女の曖昧な反応に合わせて、
「ああ、そう」と流した。
"東京か"
それもまた、
彼女のいくつかのキーワードのうちの1つだ。
そして、
話がうますぎるほどに、
彼女の方から、
「東京」の話題へと進んだ。
#4