梅雨らしく、
あじさい。
そして、
あじさいのような服を着た、
女の子。
ママ(?)は、
この右上でケータイメールをしながら、
離れて歩いて。
ほんとうは、
ずっと手をつないでお話しながら、
歩きたいんじゃないのかなぁキミ、
と女の子を観ていてふと思った。
この間、
甲子園に行って野球を観てきた時のコト。
僕と友人が席についたのは、
まだバッティング練習をしているタイミングで、
スタンドの入りはまだ半分にもなっていないくらいの時間だった。
僕らは、座ってビールを頼んで、
ロング焼き鳥なんかをうまうまとかじりつつ、
ビールを飲みながら試合の始まるのを待っていた。
するとしばらくして、
僕らの左側の通路のところに、
球場の案内係と、あるカップルがやってきた。
見ていると、
そのカップルのオネエチャンの方がチケットをかざしながら、
係の人に「あの奥ですか?あそこですね? はいっ!、はいっ!」
みたいにテキバキと確認していたなと思ったら、
自分が先に進んで僕らの足とシートの隙間を横切りながら、
「すいませんっ!」「申し訳ないっ!」とハキハキッと僕らに謝りながら、
席の方に向かった。
そして、
オニイチャンの方はというと、
オネエチャンの後から、
「ママの後ろからついてくる恥ずかしがり屋の男の子」みたいな顔しながら、
ニコリともせずに黙ってペコッとアタマだけ小さくさげて続いて、
ネエチャンの隣に座った。
この時点でまず僕は、
「ううむ?」と思った。
ちょうど僕の右側で隣がオニイチャンでその向こうがオネエチャン。
チラッと観つつ空気感を感じてみると、
オネエチャンは結構キレイでどうも年上っぽい。
オニチチャンは育ちはよさそうだ学歴も悪くないんじゃないかな。
もしもう就職してたとするとそこそこの会社に行っているかもしれない。
と、そうこうしているウチに試合が始まった。
すると、
そのオニイチャン。
オネエチャンと2人の世界だけの時は、
「男全開」なのだ。
「おら。いけー」「すごいなー!」とえらいはしゃいでいるのだ。
オネエチャンはそれに合わせて「キャハハ」と喜んであげて、
ますますオニイチャン「おっしゃー」とか言っているのだ。
そんな二人の空気感を感じながら、
ふと、
「あのさー、オニイチャンさー、
まぁいいけどさー、
オネエチャンと2人の世界の時にそんなに男出すんならさー、
さっきみたいな"社会的な場面"でも男を出して前に出てあげなよー。
さっきの"ペコッ"はないんちゃうかなあー。
せめて、前で先導して責任はたしてくれたオネエチャンを立てて、
"ニコッ"くらいしてあげなよー」
と思った。
いや、
まぁ、
そんなコトは、
実は、
「何よ、ほっといてよねー」な話で、
(ここでもオネエチャンが前に出て怒るのね)
本人たちがよければ、
「いいじやないの幸せならば」な、
ヨケイなお世話だ。
でも、
それはそれとして、
僕はちょっと両親のコトを思い出した。
ウチの父親は昔から、
ダイジな「社会的な場面」では、
すっと、こそっと、引っ込んでしまうので、
すべて母親が前に出てやってきた。
なのに、家の中では「男」を振り回して、
あまりそこを突くと、逆ギレしたりした。
外では弱いのに。
それでも昔は「仕方がないああいう人だから」と、
母親はやってきたのだけれど、
今や、もう父親は、
母親にとってかなりうっとおしい存在になってしまった。
ことある度に「全部ワタシがやってきたんやからな」と言われ、
今では小さくなっている。
でも、それで、
今度はそやって家でも小さくなって、
やはり、何かの時には前に出ない。
そりゃ、母親もシンドイだろう。
それでも、
僕の記憶だと、
父親は、
どこかに行って座席に座る時くらいは、
前を横切る人たちに、
「前をすんません!」「すんません!」くらい言ってたと思う。
もちろん、
今がタノシイならばいいけれど、
オニイチャン、
「将来うっととおしい扱いをされたくなかったら、
今から、外では前に出てやったげな」
オネエチャン、
「確かに君がやった方がてっとり早いと思うけれど、
将来、うっとおしいダンナになってもらいたくなかったら、
今からちょっと出来るようになって貰いな」
なんて、
思った。
と、
ほんとうはここで、
この記事は終わる予定だった。
しかし、
その後、
つらつらと考えた。
ウチの母親の世代の女性と、
今の女性ではちょっと違うかもしれない。
そのオネエチャンの出していた空気感とかも、
よっく思い出したりもしてみた。
あのオネエチャン、
結構したたかそうだった。
はしゃいでいるオニイチャンの言葉に「キャハハ」と笑って、
オニイチャンを上手に乗せて、
コントロールしてたんじゃないかなぁと。
もし結婚して、
「なんだかなぁー」と思った時点で、
ウチの母親のように辛抱などせず、
オネエチャンはあっさりと離婚しちゃうかもしれない。
いや、
失礼を承知でもっと言うと、
「なんだかなぁー」と思った時点で、
結婚後の安定した生活はそのままにしておいて、
外で別に恋人でも作っちゃうかもしれない。
そして、子供が家を出て夫婦だけになった時に、
「バイバイ」なんてこともあるかもしれない。
今はそのくらいあっても、
不思議じゃないと思ったりもする。
となると、
カワイソウなのはオニイチャンだけだ。
うーん、
やっぱりガンバレ、
オニイチャン。
そんなこんなです。